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石じじいの話・蒙古の呪術 (5)
石じじいの話です。
現地の蒙古人から聞いたというシャーマンの呪術の話です。
シャーマンは、患者を治療するために沐浴をしたそうです。
その方法とは:
ラシャーン(温泉、鉱泉の意味)*が湧いているところから、その水を汲んでくる。
その鉱泉水に、薬草を入れる。
薬草とは、アザレア、タカヨモギ、シダレイトスギ、マオウなどだ。
その薬草入りの鉱泉水で、正午に沐浴する。
この時刻の水は霊験的な薬力があるのだ。
シャーマンが人形を作り、それに悪霊を移動させて患者から分離し、その人形を燃やすことによって患者を治療することがある。
治療儀式に使われる補助薬がある。
それは:
守護霊に捧げた線香の灰;
雷雨の時、地表面に落ちる前に直接空中で集めた雨水;
この雷雨の水は、神聖な水であり超自然的な力を持つのだ。
*「ラシャーン・オガールガ」という、甘露洗礼、つまり、聖水で浄化する儀礼もあったそうです。




