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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・蒙古の呪いの谷、他

石じじいの話です。


朝鮮に住んでいたじじいが、満州と蒙古に旅したときに見聞したことをいくつかお話しましょう。


(1) 水を飲みだめできる人がいたそうです。

一度に大量の水を飲んで、腹がふくれるが、数日の間は水を飲まないで旅行できる人だったそうです。

道中、水場の少ない蒙古では便利なからだです。


(2) 呪いの谷というものがあったそうです*。

それは、両岸が切り立った崖であり、その中は、砂丘によって埋められていました。

その砂丘の砂の中から、たくさんの人骨が出てくるのです。

柔らかい砂を掘ると、人骨がごろごろと出てきたそうです。

四肢骨や脊椎骨はふつうで、頭蓋骨もめずらしくありませんでした。

これらの骨には、刀でつけられた傷がたくさんあり、また、断ち切られた骨も多かったそうです。

大昔、ここで数千人の兵士が虐殺されたのだ、ということでした。

死体は、埋葬されることなく、谷に放置され、それが移動してきた砂丘で埋められたのだろうということでした。

殺された兵士たちが身につけていた武器や鎧などは、再利用するため敵兵たちに回収された

現地の蒙古人が言うには、

この谷では、絶対に野営するな。昼間でも長居は無用だ。呪い殺されるぞ。

今も危ない。早くここから立ち去ろう。

たしかに、じじいが耳をすませると、谷の中に、人間のうめき声のようなものが低く響いていたそうです。

風の音だと言ってしまえばそうかもしれませんが。


(3) 暦の丘というものがあったそうです。

ある丘の山頂に、大きな石が並べられていました。

その数は、旧正月の日付でした。

毎年、その石は、新しく並べ変えられて、石の数は毎年異なっていたそうです。

旧正月の日付は、毎年変わるので、その年ごとに、暦をつかさどるラマ僧に尋ねなければなりませんでした。

しかし、そのような僧は、この近くにはいないし、この丘の上に、だれかがやって来て、石をならべる作業をしているのが目撃されてもいませんでした。


(4) ある殺人者がいたそうです。

その男は、たまに通りかかる旅行者を、「この人は神に仕える人だ!」と決めつけて、殺して木に吊るして、死体が白骨化してしまうまで放置していました。

そうすることが、その旅人にも神にも良いことなのだ、と主張していたそうです。

追い剥ぎではなかったようです。

純粋な「殺人癖のある人物」だったのでしょう。

結局、官憲に捕縛されたとか。

*以前の話で、真っ黒な岩石が露出した広い窪地があって、そこにヤギやヒツジなどの家畜が迷い込むと、すぐに死んでしまう、というのがありました。地下からガスがでるのでしょうか?しかし、蒙古の草原は風が強いので、そのような窪地にガスがたまることはないのでは、という話でした。

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