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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・電気石

石じじいの話です。


強力な電気を作り出す岩石があったそうです。

普通、「電気石」というのは、「トルマリン」と呼ばれる鉱物です。

この鉱物の結晶を、ある方向から圧縮すると電気(電荷)が生じるのだとか。

トルマリンの他に、石英やトパーズの結晶でも起きる現象のようです。

しかし、この話での「でんき石」は違いました。

それは、「鉱物」ではなく「岩石」でした。

クリーム色の、チャートのような岩石だったということです。

その石は、常時電気を発生させているらしく、指で触るとビリっときたそうです。

そのため、取り扱いや保存が難しかったのです。

ゴム手袋をして持たないといけないし、通電する金属の箱では保管できない。

ただ、発熱はしなかったようです。

物理法則に反する現象ですが、そうでなければ、ここで紹介する意味はありません。

利用方法はないかと、所有者は考えました。

電灯を灯す電源として使えないか?

どうしたら直流を得ることができるかわからない。

池や川に入れて、魚を感電させて漁るというのはどうか?

やってみたそうです。

上手くいきました。

まず、小さな水槽の中に入れると、泳いでいるメダカや金魚が浮いてくる。

針金で作った籠に入れて、縄で吊り下げて池に入れると、魚が浮いてくる。

よし、川でやってみよう。

しかし、この石を、川や大きな池に落としてしまったら大変なことになるのでは?

水の底から取り上げようとして、水に入ると人が感電するだろう。

人が取れない深いところに沈んでしまったら、もっとやっかいなことになる。

そのまま放置すると、川や池の生き物が感電死してしまう。

川に入った人も危ない。

持ち主たちは、その石を金属の籠に密閉して、川に入れてみました。

いつまでたっても、魚は浮いてきませんでした。

やはり、川のような大きな水塊では無理なのか、それほど電力はないのか、がっかりしたのと同時に安心したそうです。

しかし、その川のすぐ下流にある堰のさらに下流で水を飲んでいた犬が、ばったりと倒れました。

大変だ、この石は、電気ではなく毒を発しているのではないかと、人々は考え始めました。

はじめは、おもしろがって、割ってみるか、などと言っていた持ち主も腰が引けてきました。

持ち主は、じじいに石を引き取れと言ってきたので、じじいは、ただなら引き取るよと言いました。

すると、持ち主は、法外な売値を請求してきたそうです。

「こがいな、いなげなもんを、そがいなねで買いとれるかい、ぞえなよ」と断りました。

恐怖した持ち主は、その石を、陶磁器のなかで変圧器の油*にひたして保存したそうです。

その後、その石がどうなったかは不明です。

いつもの、じじいの話と同じオチですね。

売ろうにも、触ると感電する石は売れないでしょうし、悪用されるとたいへんなことになります。

売った方も責任を問われるかもしれない。

持ち主は、この石の由来を明らかにしなかったし、産出地も不明でした。

そもそも、それは自然石だったのかどうか。

いまなら、新たな再生?エネルギーとして重宝されるかもしれません。

*これポリ塩化ビフェニルでは?

発がん性のある猛毒ですやん。

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