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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・死者が帰る道

石じじいの話です。


旧暦七月の盆行事は、7月1日から始まります。

盆は、地獄の釜の蓋の開く日であり、釜蓋朔日とも呼ばれていました。

祖先が地獄から出てくる日なのです。

彼らは、叫び声を上げて歩いてくることもあったそうです。

七月七日のタナバタの日に、墓の掃除をして部落から墓までの山道を修理します。

その道を通って、祖先が家に帰ってきます。

それぞれの家では、高い竹や杉の木を立てて、精霊が空から帰ってくる目印にします。

灯籠をつるした高い竿を立てることもありました。

というと、精霊は空から来るということでしょう。

遠くからくる祖霊には必ず目印になるものが必要でした。

それを目印に、無縁霊もやってきたそうです。

6月の末くらいから、灯籠をともしはじめるところもあったそうです。

新仏がある家では、七月二十四日まで続けられました。

墓地に提灯をつるして、弁当を持っていって食事をし、祖先を迎えるという風習もありました。

これは、今でも行っている人たちも読者のみなさんのなかにもいらっしゃるのではないでしょうか。

盆が終わるまで、掃除をして整備した、墓への道を通ってはいけませんでした。

そこを祖先の魂が家に戻ってくるので、それに出会ってはいけないのだそうです。


ある時、その道を歩いていた人が、墓の方向から、四つん這いになって、こっちに顔を向けて走ってくる人に出会ったそうです。

その顔はアンバランスに大きく、まっすぐこちらを向いていました。

その人は驚いて、道の横に飛びのいて、草むらに隠れたのです。

その四つん這いの人は、音も立てずに村の方向に走っていったそうです。

「あれは、去年死んだ母親やったい。」

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