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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・血天井

石じじいの話です。


これは、一般によく知られている話です。それの、じじい版と考えていただければと思います。


手や足の跡がたくさんついている天井が、ある寺院にあったそうです。

その跡は、血液らしいということでした。

そこの住職が、じじいに説明したところによると:

戦国時代(?)に、ともに自害した武士の一族がいて、そのときに床に流れた血の上に倒れ込んだ彼らの死体の跡や、それを片付けるために血の上を歩いた人々の足跡だということでした。

腹を切って首を落とされて、胴体が前に倒れた時、思わず両手を前についたために手形が残った、のだそうです。

首を落とされていたのですから、やはり「思わず」手が出たのでしょう。

これは、よくある説明ですね。ネットにもたくさんの説明を見つけることができます。

斬られた首が血溜まりを転がったときについた、顔の跡というのもあったそうです。

この血まみれの床板を剥がして、寺の天井板に使ったのだということでした。

これは、各地に伝えられている「血天井」というやつですね。

しかし、この寺の手足跡については、単なる木目や自然についたシミであり、血痕や手足の跡ではないという意見もありました。

これも、よくある否定的な説明です。

天井板に使われた木材から樹液や樹脂が染み出してきたり、そこにカビが生えたりして、そのように見えるのではないか、という説明もありました。

また、天井板をはるときに、板の表面についていた大工の手形が年月を経て、その手脂が変色したり、そこにカビが生えたのだ、という説明もありました。

よくある合理的な説明ですね。

いや、これは、幽霊の足跡だ、という人もいたそうです。

では、その幽霊は、頭を下にして逆立ちして天井を歩くのか?

あるいは、幽霊が天井板の上面を歩いて、その足跡が板を通して下面に染み出した。それを下から人が見上げるのだ、ということでしょうか?

邪な生活をしていた人が死んだら、その霊魂は、逆さまに歩くのだ、と言う人もいたそうです。

これは、死んでまでも「天」を踏みつけているのだ、と。


「幽霊には脚がないから、足跡はつかないのではないか?」と、じじいは思ったそうですが、口には出しませんでした。


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