石じじいの話・いくつかの短い話 8 - ハエの眼
石じじいの話です。
まとまりのない、短い話をいくつか書いてみましょう。
(1) ある人が、何者かの眼を通して風景を見るようになったそうです。
つまり、その人の視界が、自分のものではなく、他人の見ている視界になってしまったのです。
それは、ハエが見ている風景だったそうです。
(2) 竹ヤブに捨ててある鏡に人の顔が映ることがあったそうです。
それは、その鏡を覗き込んでいる人の顔ではないのです。
その鏡を家に持ち帰ると、そのような現象は起きなかったそうです。
(3) 人喰い階段があったそうです。
その怪談は非常に滑りやすく、人が頻繁に転び落ちて死ぬのです。
滑らないようにステップに滑り止めを貼り、取っ手を設置しましたが無駄でした。
それでも、よく人が転び落ちて死ぬ。
取り壊されてしまったそうです。
(4) 「人魂」には裏と表があるのだそうです。
(5) ピアノがとても上手い人がいたそうです。
それもそのはずです。
その人の指は12本あったのです。
(6) ある町では、毎月二十八日には、もちを食べる風習があったそうです。
小学校の生徒の弁当も餅に決まっていました。
給食が無い時代だったのでしょうけど。




