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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・人間聴音レーダー

石じじいの話です。


世の中には、人間離れした能力を持つ人たちがいます。

これも、そのような人の話です。


遠くの微弱な音を聞きわける人たちがいました。

それは、男性と、その人の三男、親子でした。

遠く離れた村の祭りの太鼓の音を聞き分ける事ができました。

もちろん、笛などの他の楽器の音、メロディーも聞きとれました。

野生動物の鳴き声はもちろん、遠くの道を行く荷車の音や馬の蹄の音も、その重量や体重の違いも含めて聞きとることができたのです。

とうぜん、遠くの田んぼで働いている人たちの話の内容や、彼らの呼吸の音さえも聞きとることが可能でした。

さらに、彼らは、その優れた聴覚能力を自分の意思で「遮蔽」することもできたそうです。

つまり、聞きたくなければ、その「耳をふさぐ」ことができたのです。

「ボリューム、感度」調整が可能でした。

この聴覚は、先天的な能力でしたが、使いこなすためには、幼い頃からの訓練が必要だったといいます。

終戦間近になって、この特殊能力は、日本陸・海軍に知られることとなりました。

軍は、この能力を兵器として利用できないかと考えたのです。

たとえば、「安上がり」で機動性の富むレーダーとして活用できます。*1

接近する敵機や艦船、戦闘車両、兵士などを探知可能だろうと。

その父子は、軍によって東京に連れて行かれた後、終戦になっても故郷に帰ってこなかったそうです。

完全に行方不明になってしまったのです。

東京の空襲で死亡したのでしょうか?*2

なんの情報も得られませんでした。

その家では、長男も次男も兵役で戦死したため、その家系は絶えたそうです。

*1 実際に、そのような聴音による対空探知装置(空中聴音機)が開発されたようです。

この話の聴音能力者は、それら機械式の聴音機とは異なり、周囲の騒音や風雨の影響をまったく受けなかったそうです。

*2 GHQによって米国に連れ去られたとか、終戦時に軍により「処分」されたという噂もありましたが、その根拠はありませんでした。

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