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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・窒息石

石じじいの話です。


水石趣味の話です。

近くに置いておくと息苦しくなる石があったそうです。

それは、四万十川でとれた水石で、真っ黒で、表面がなめらかな黒色泥岩でした。

その水石を部屋において、同じ部屋で寝ると、夜中、息苦しくなって目覚めるのです。

目覚めても、息苦しさは続きました。

しかし、あわてて部屋から出ると、息苦しさはなくなるのです。

障子を開けて、部屋に外気をいれると多少ましになるのですが、息苦しさは消えませんでした。

息苦しさは、きまって夜中に感じられるのですが、朝になると、おさまりました。

これは、部屋に問題があるのかと思って、別の部屋で寝ると、そこでも深夜の息苦しさを感じます。

これはおかしい。

どうも、その黒い水石と同じ部屋で、さらに、石の近くで眠ると、つよい息苦しさが生じるようなのです。

持ち主は実験してみました。

その石を水槽に入れておくと、中の魚が全部死んだそうです。*1

おもいきって池に入れると、池の生物が全滅しました。

魚だけでなくカエルも死にました。


どういう理由でしょうか?

この黒色泥岩は、太古の時代、酸欠状態の海底で堆積した泥が固まってできた石でした。

海底が酸欠状態になると、海底に降り積もった有機物がバクテリアで分解されないで残るので、それによって泥が黒色になるのです。

黒い泥は、低酸素状態で、生物にとっては息苦しい環境でした。

おそらく、その形成された当時の「低酸素の環境」が、その黒色泥岩をとおして現代に蘇るのではないかと考えられました。

石をとおして、石のまわりに、太古の海底の低酸素状態がよみがえると。


この水石が、その後どうなったかはノートに書き記されていませんでした。

山の中に捨てればよいのか?

埋めればよいのか?

深い海に捨てるのがよいのか?

*1 オキシジェンデストロイヤーのようです。

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