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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・血まみれ電車

石じじいの話です。


昔は、路面電車が走っている街は少なくありませんでした。

ある時、じじいが道路の真ん中にある電車乗り場(安全地帯)で待っていると、向こうから路面電車が走ってきました。

よし、自分の電車だ、と思ってよく見ていると、その電車の前面に、赤茶けた色の模様がある。

その模様は、幾何学的なものではなく、炎のような形で、車体の他の部分のデザイン(配色)と調和していないのです。

電車が近づいて来て、よく見ると、前面にべったりと血がついていたそうです。

それが、電車の車体の模様に見えたのです。

それに気づいた、他の人々は、乗り場の安全地帯から道路に逃げ始めました。

自動車も急停車して、大騒ぎです。

じじいは、手をふって、止まれ、と信号を送りました。

電車は乗り場で停車しました。

乗り場の騒ぎを運転席から見ていた運転士が、ちょっと興奮して下りて、じじいの方へやって来ました。

じじいに、「ほれ、あれみんさい」と言われて正面を見た運転手は、「うおっ!」と叫んで後ろに倒れそうになりました。

それをじじいが支えたのですが、運転手に続いて下車してきた、物見高い乗客も、それを見て大騒ぎです。

運転士も乗客も、自分たちが乗っていた電車が人を轢いたおぼえはない。犬などを轢いたおぼえもない。

それに、こんなに血が出たのなら、相当大きな衝突なので、強い衝撃があるはずだが、それもなかった。

結局、乗り場で電車を待っていた、じじいと他数人は、目撃証人として残りました。

警察が来ましたが、被害者はどこにもいない。周辺を探しましたが、見つからなかったそうです。

警察によると、これだけの出血があれば、轢かれた者は歩いて立ち去ることはできないだろうということでした。

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