石じじいの話・幽霊写真家
石じじいの話です。
長年、心霊写真を撮影しようと努力している人がいたそうです。
石じじいの友人です。やっぱり。
その男性は、その類の写真を「幽霊写真」と読んでいました。
彼は、戦前から、撮影を続けていたそうです。
最初の頃は、大判カメラを使っていました。
彼は、家や墓石、池、人などを無作為に撮影していました。
頼めば、彼は無料で記念写真も撮影してくれたので、地元の人たちには重宝されていました。
彼が言うには:どんなところにも幽霊はいるだろうから、被写体は何でもいいんだ。そこに偶然に、または必然的に写し込まれるチャンスをとらえるのだ。
人を撮影すると、その人に関係した幽霊が写るかもしれないから、撮影の優先度は高いのだ、と。
じじいも、その人に写真を撮影してもらったことがあるそうです。
彼は、戦争中も、貴重な乾板を使って撮影していたので、スパイの嫌疑をかけられ官憲に捕まって厳しい取り調べをうけました。
その時は、手に入るフィルムが少ないので、大きな乾板をガラス切りで小さく切り分けて、それで撮影していたのです。
戦後も、その人は幽霊写真の撮影を続けました。
そのときには、もう、35mmフィルムカメラを使っていました。
その人の家には、フィルム写真保管室があって、天井まで達する本棚にフィルムと焼き付けた写真がびっしりと保管されていたそうです。
撮影年月日や使用フィルム、カメラの種類、場所、時刻も記録されていました。
撮影したときに手帳に、その情報を記録していたのです。
フィルムはすべて白黒で、自分で現像して、自分で焼き付けていたそうです。
まあ、安上がりですね。
その成果は?
幽霊写真が写ることは、非常にまれだったのですが、それでも、いくつかの「幽霊」写真が撮影できたそうです。
数千枚のうちの十数枚くらいの確率です。
その写真は、人物の背景にモヤのようなものがあるもの;
部屋の中に大きな球が空中に浮かんでいるもの;
山の稜線の近くに、空飛ぶ円盤のようなものが写っていた写真もあったそうです。
これは、これで、違った意味で重要なのでは?と、じじいは指摘したのですが、その幽霊写真家は、これも幽霊だ!と言いはっていました。
写真は、いずれも、ハレーションの写り込みのようなもので、はっきりとした人物が写っているものはなかったそうです。
じじいは、たまに彼のところに行って、撮影結果を見せてもらっていました。
幽霊写真家の行動を理解して興味を示す人間は、じじい以外にはいなかったのです。
最終的には百枚ていどの写真が撮影されたということです。
彼は、そのなかから、いくつかを、じじいにくれたそうです。
その幽霊写真家は、じじいが死ぬずっと前に亡くなってしまいました。
彼の膨大な成果は、おそらく、家族によって廃棄されたのだろう、ということでした。
彼は、自分の努力を評価してくれていた(?)じじいにとても好意を寄せていて、じじいにカメラを何台かゆずってくれたそうです。
幽霊写真を撮影したカメラが、彼の遺品というわけです。
じじい箱を探ってみました。
カメラがいくつか入っていたのですが、これが幽霊カメラと思われます。
これで幽霊が撮影されたのかと思うと感無量ですね。
じじい箱に入っていた幽霊カメラ*
https://i.imgur.com/6T6ql4f.jpeg
また、幽霊写真も出てきました。
幽霊写真の一枚
https://i.imgur.com/sRkeUBr.jpeg
おわかりいただけただろうか?
*画面、上のカメラについているストラップは、後に他人が新たに付けたものです。




