石じじいの話・こどもじじいの短い話:彼岸花;祖父の靴;百物語
石じじいの話です。
じじいが子供の頃の話だそうです。
1. じじいが子供の頃。
夕方に、障子に透けて真っ赤な彼岸花が見えていたそうです。
となりにいた母親が、小声で言いました。
「誰も悪くはなかったのにね。」
大人になって考えると、障子が透けることなどないだろうに。
2. じじいが子供の頃。
じじいの祖母が、じじいの母親にたずねたそうです。
「入院しているはずの祖父の靴が玄関にあるのはなぜか?」と。
どういう意味でしょう?
3. じじいが子供の頃。
じじいが、友人たちと百物語をしました。*1
ろうそくだけだと、部屋が暗くて怖いので、姿見を3台置いて、その前にろうそくを立てました。
それぞれの姿見に鏡が三枚で、合計九枚です。
たくさんの、ろうそくが鏡にうつり、明るかったそうです。
話が進んでいくと、ろうそくも、ひとつづつ消えて、部屋は暗くなっていきました。*2
全部消えると部屋は真っ暗です。
手探りでオイルランプを灯すと、どの鏡にも皆の姿は映っていませんでした。
全員が、わっと驚いて、もう一度見かえすと、鏡には皆が映っていたと。
お約束の、百物語怪談ですね。
*1 子供のやることですから、怪談話は、他愛もないものでしたが、地元のネタが多かったようです。
その時に怪談話のいくつかは、じじいが話しくてれました。
いつか紹介しましょう。
*2 灯したろうそくは、とても100本も用意できず、10本ほどを消しては点けを繰り返したと。




