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石じじいの話・短い話:大雪で送る;死者の本;追伸
石じじいの話です。
出所不明の話を三つ。
1. 患っていた老人が、自宅で死んだ瞬間に大雪が降り始めました。
すぐ近くさえも見えなくなるほどの雪が降って、みるみる積もったそうです。
真っ白の雪が、彼の死を悼んでいるようでした。
雪による葬送だったと。
2. どのページにも、ある死者の顔が浮き出てくる本があったそうです。
それも怖い顔でした。
「呪いの本」と呼ばれていました。
しかし、その本は、農学の古書でした。
営農のための本でした。
3. 久しく会わなかった友人から手紙が来ました。
近況を知らせる、とても懐かしく楽しい手紙でした。
追伸に曰く:「わたしは死にました。」
急いで手紙にあった住所に連絡をとると、やはり友人は死んでいたそうです。




