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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・短い話:影が轢かれる;夕焼けの廃墟;夕陽の首吊り

石じじいの話です。


じじいが、他人から聞いた話です。


1. ある人が語りました。

ある町で、道路に「影」が飛び出してきて、車に轢かれるという現象が見られたそうです。

それは、毎日では無いが、たまに、晴れた日に起きたのです。

四季に関わらず。

ただし、それが起きるのは、陽が傾いて物の影が長くのびるようになる夕方に限られていました。

まれに、早朝に起きることもあったとか。

この「影の轢死」は、町の決まった数カ所で見られました。

影は、自転車に轢かれることもありましたが、人に踏まれることはありませんでした。

これじたいは無害だが、どうも気味が悪かったそうです。

その影が轢かれる場所で、実際に人が轢かれた事故はなかったのですが。


2. ある人が語りました。

真っ赤な夕焼けを見ていました。

ふと、沈む太陽から目を離して、まわりの光景を見ると、まわりは、すべて廃墟だったそうです。

人は一人もいない。

鳥も飛んでいない。

動くものがない。

樹木は、皆枯れている。

慌てて歩いて見ましたが、どこも廃墟で、歩いている路面も荒れていて、錆びた車の一部や朽ちた衣服や靴が転がっています。

舗装道路もひび割れていました。

地面から顔を上げると、風景はもとに戻っていたそうです。

腕時計を見ると、五分ほど、その現象が続いたらしい。


3. ある人が語りました。

通りがかりの廃屋の庭の木の枝から縄がぶら下がって、その先が輪になっていました。

首吊りのための縄と思われました。

見ていると、突然、その輪の中心が真っ赤に光ったそうです。

よく見てみると、ちょうど、その輪の中に、沈む太陽が位置していたのです。

それまで、太陽など気にならなかったのに。

眩しさも感じなかったのに。

輪が光った瞬間、そこからぶら下がる黒い人影が見えたような気がしたと。

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