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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・朝鮮のコックリさん

朝鮮にも、「コックリさん」があったそうです。

これは、日本から入ってきた、幽霊を呼ぶ呪術と考えられていて、朝鮮では大邱で流行し始めて、全国に広まったそうです。

Bunshinsaba (분신사바) と書き、漢字では「分身様」とも「分身像」とも「分身娑婆」との書かれました。

これが流行り始めた大邱地域は、仏教の信仰が強いところでした。

これには、いろいろな方法があり、じじいが聞いたのは、西洋の「テーブル・ターニング」や「テーブル・ティルティング」と呼ばれているものに似ていたそうです。

石じじいの話です。


じじいが朝鮮に住んでいたときの、朝鮮人の知り合いの女性が話してくれたコックリさんの話です。

話してくれた朝鮮人の女性をAさんとしましょう。彼女の友だちに、同い年のBちゃんがいました。

Bちゃんは、痩せた元気な少女で、色白のかわいい顔の妹がいたそうです。

ある日、Bちゃん、Bちゃんの妹、話してくれたAさんの三人が、コックリさんをやりました。

一尺ほどの棒を三本、中央で縛って立てて、その上に盆を1つのせます*。

その盆の隅を三人の人が三方から右手で軽くそえて、コックリさんに質問するのです。

「コックリさん、コックリさん、今日は何日でしょう?」

すると、その盆が自然に動き出します。

その日が、十五日なら、15回動くのです。

盆が止まると、力を入れても、もう動かなかったそうです。

知らない人の年齢も当てました。

数で表される質問であれば、何でも当てたそうです。

人の生まれた日や両親の年齢、祖父母の年齢なども当てました。

しかも、Bちゃんは、一人でもコックリさんができたそうです。

ひとりでも、お伺いを立てると、盆が自然に動き出して、質問に答える。

使用する棒は、長い箸でも良いし、盆は、お櫃の蓋でも良かったそうです。

Aさんは、自宅で、おにいさんと、他の友だちと三人でやってみましたが、コックリさんは答えませんでした。

このため、Bちゃんと妹さんが参加しないと、コックリさんは動かないのでは?という結論に達しました。

夕食時に、両親やおばあさんにも、このことを話すと、彼らもコックリさんを知っていてましたが、Aちゃんたちに忠告しました。

「コックリさんは、してはいけないよ。祟りがあると怖いからね。」

コックリさんは、縁の下に狐かネズミがいて、それが盆を動かすのだ。

よく当たるけど、それをする人は長生きしないのだ、と。

Aさんは、コックリさんを、おもしろい占いだとしか考えていませんでしたが、その話を聞いた夜は、怖くて眠れなかったそうです。

Aさんのおにいさんは、自分がつくったコックリさんの道具を捨ててしまいました。

Aさんは、怖くなって、Bちゃんの家に行くことも減ったそうです。


その後、Aさんは、上級の学校に進学するため故郷の町を離れました。

Bちゃんは、実家の薬種屋をつぐために、薬の学校に入りました。

Aさんが、学校の夏休みに帰省してみると、Bちゃんの妹さんが死んだということでした。

死因は肺結核でした。

その翌年、Bちゃんのお母さんが死にました。

病気は同じく肺結核でした。

この時、Aさんは、おばあさんが話してくれた、コックリさんの祟りということを思い出して、不安になったそうです。

卒業の前の年に帰省すると、Bちゃんが病気で寝ているという話だった。

見舞いに行こうとすると、親たちが、「あの家は、肺病だからなるべく行かないほうがいいよ。」といいます。

Aさんは、それを無視してお見舞いに行きました。

Bちゃんは、自分の部屋で寝ていました。

もともと痩せた子だったのが、さらにやせ衰えて、ほんとうに骨と皮ばかりだったそうです。

Bちゃんを元気づけようと、Aさんは、子供の頃に一緒に遊んだ思い出などを陽気に話しましたが、コックリさんのことは口に出しませんでした。

Bちゃんと話していると、縁の下に住んでいるネズミが、その話をじっと聞いているような、いやな気がしたのです。

Bちゃんの家を出るときに、Bちゃんはもう助からないのではないか?と思ったそうです。

卒業して帰省すると、Aちゃんは一月前に死んでいました。

予想が当たったな、とBちゃんは哀れに思ったそうです。

*ほかの方法は、白い紙の上に、あらかじめOXや数字など文字を書いておきます。

場合によってはハングル文字も書いておくそうです。

これは、幽霊の答えを簡単に理解するためです。

その後、二人が向かい合って1つの筆記用具を握って、それに集中して質問を唱えると、場合によってはペンが動いて何か字のようなものをコックリさんが書くのです。

コックリさんには、質問しかしてはならず、お願いをしてはいけない、祈ってはいけない、のだそうです。

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