石じじいの話・迷信による破滅
この話の内容は、迷信・信仰による家族の破滅であり、人権的に微妙な話です。
差し障りがあれば消去します。
じじいは、子供の私には、残酷な話やエロい話はしませんでした。やはり、大人として配慮したのでしょう。
しかし、私が中学生になり、じじいが死ぬ少し前には、やや残酷な話やエロ話をしてくれたようです。そのような話が、私の聞き取りノートにありますから。
以下、文中に、残酷な表現が出てきます。
石じじいの話です。
ある農家が、迷信によって破滅しました。
その農家の人々は、教育はないが、朴訥で温厚な良い人たちでした。
かなり広い田畑をもち、牛の飼育をおこない、副業で炭焼き業もおこなっていて、裕福な家でした。
家族は、父親、母親、長男、長女、次女。
長男は独身で出稼ぎで不在の時が多い。
長女は、結婚して家を離れている。
次女は、嫁いだが、持病のために離縁されて家にもどってきた。
その病名は伏します。
次女は、医者にかかっても、行者にみてもらっても治りませんでした。
ある日、その次女が、奥の屋敷で変死体として発見されたのです。
全身に火傷の痕があり、縄で縛られた跡もありました。
死後十日ほどたっていて、家には腐敗臭が充満していたそうです。
警察の捜査の結果は以下のとおりです。
あるとき、父親が神がかりとなって、その神を信仰するようになった。
その神・信仰は、彼らの独自のものかと思われたが、XXXに関連していたようだ。
XXXは、ある宗教名ですが、ここでは伏します。
父親が言うには、次女の病気は、彼女にとり憑いている怨霊の仕業だ。
彼は、娘を全裸にして細紐で縛り、炉端まで引きずっていって、燃えている焚き木を体に押しつけた。
この肉体は怨霊が占拠しているのだ!
悪霊を、この火炎地獄に落としてやっているのだ!
怨霊退散!
これが終わっても、次女には持病の発作が起きたので、次は食事を与えないで、梁に吊り下げた。
彼女は、絶命しました。
父は、これで、次女から怨霊が退散した、と考え、彼女が生き返るように神に祈りました。
こうしているときに、まわりの人に発見されたのです。
父親と母親は、留置場に収監されている間に、次女はもう生き返らないということを自覚しました。
父親は痴呆状態となり、母親は、父親の神様を罵り続けたそうです。
彼らは正気にかえったのです。
彼らに憑いていた悪霊が退散したのでしょうか?
迷信・宗教による破滅の典型的な例です。




