石じじいの話・子供たちの墓
石じじいの話です。
子どもたちだけの墓があったそうです。
ある山の中腹に横穴が掘ってあり、そのなかが墓になっていました。
その山の部分は、火山灰が熱で溶けて固結した溶結凝灰岩(大谷石のような岩石)であり、柔らかいので、手掘りで容易に掘削することができました。
さすが、石じじい、岩石については詳しい。
その横穴は、入り口は狭いのですが、中は、大人が立てるくらい天井が高くなっていました。
その横穴から、さらに左右に小さな横穴が掘られていて、そこに子供の骨が詰め込まれていたそうです。まるで、カタコンベのようでした。
1つの穴に、一人分の子供の骨が入っていたそうです。
メインの通路となる横穴は、山側にずっと水平に伸びていました。
もちろん、行き止まりになっているのですが、埋葬用の穴が足りなくなると、その通路をさらに掘り進んで、新しい墓穴を作るのだということでした。
この話は、日本のことなのか朝鮮や満州のことなのか、私の聞き取りノートからは、いまひとつはっきりしません。
ノートの別の箇所にも、同じような話が書き残されていて、そこでは、日本での話だと記されています。
骨を穴におさめるというのですから、死んだ子供を火葬にすることはなかったのでしょうか。