496/612
石じじいの話・ご主人の帰宅
石じじいの話です。
六十歳の未亡人が語りました。
彼女のご主人が亡くなって三回忌の時です。
夜、玄関が開け閉めする音がしました。
だれか来たのか?
たしかに戸締まりをしたはずなのに?
確認のために玄関に行くと、死んだはずの夫が玄関に置いてある椅子に座っていたそうです。
彼女は、「まあ、そんなところに座っていないで、上がって休みなさい。」と、思わず生前のように言いました。
すると、夫は、「いや、地下足袋履きのままだから、ここに座っているよ」と。
彼女は、お茶を出してやろうと、茶の間にもどって、お茶をくんできました。
夫は、美味しそうにお茶を飲んで、消えたそうです。
よくある不思議話です。




