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石じじいの話・戦争の話:残された人々 2:父の骨
石じじいの話です。
戦争に関連した話です。
戦死者から残された人々は、どのような経験をしたのでしょうか。
中学生になった娘が、母親に尋ねました。
もうすぐ、おかあさんの誕生日です。
プレゼントを用意したかったのでしょう。
「ねえ、おかあさん。今、何がほしい?」
「ルソン島で死んだ、おとうさんの骨」
と、おかあさんは思わず答えました。
これは、私が中学生のときに、じじいから聞いた話です。
ですから、この娘さんは、私と同じくらいの年齢だったのでしょう。
母親の父親が戦死されたとき、彼女は、この話のときの娘さんの年齢に近かったということですから。
じじいや私の村の近くの娘さんの話だったのか、それとも、じじいが石探しの旅行中に見聞した話だったのか、わかりません。
この話を、じじいから聞いたという記憶はありませんが、ノートには書き記されていました。
もしかしたら、私が直接、学校の女子から聞いた話かもしれません。




