石じじいの話・自殺機
石じじいの話です。
これは、じじいが、東京で、刑事(または、軍人)から聞いた話です。
「自殺機」というものがあったそうです*1。
「安楽死」をする装置です。
その装置は、ある施設(小学校とも、病院とも)に設置されていたようです。
その装置の詳細は伝わっていないのですが*2、それを身体に装着して、その施設の一室で一晩過ごすのです。
その装置は、両腕と両足に装着するもので、頭部には装着しなかったということです。
装着しても、痛みなどの刺激は感じませんでした。
そして、一晩(何時間か)、眠らなければならなかったのです。
そういう時に、やすやすと眠られるものではありません。
しかし、睡眠をとらないと、その装置の効果はないのです。
無事に(?)、眠って一晩過ごすと安楽死できました。
眠っている間に、かならず夢を見たそうです。
それは、非常に楽しい幸福な夢でした。
べつに、自分の人生の楽しい記憶というわけではなく、架空の夢でした。
朝、目覚めても、その夢のおかげで生きる希望が湧く人は少なかったようです。
さて、効果は?
すぐ死ぬわけではありません。
死ぬまでに時間がかかるのです。
数日後に死ぬというのが最短でした。
最長、1年後に死ぬということも可能でした。
可能とは?
この「死までの時間」は、装置で調整できたらしいのです。
しかし、すぐに死ねないというのは、かえって辛いのではないだろうか?
なぜ、この装置を使うのか?
簡単です。
この装置を使うと、死亡保険金がおりるのです。
また、不治の病を患っているので、もう死にたいという人が来ることもありました。
場合によっては、患者本人ではなく家族が希望して、病人を連れてくることがあったそうです。
では、装置を使用後に、思い直して自殺する気がなくなった場合はどうするか?
その時は、その施設を訪れて別の装置を装着して一晩過ごすのです*3。
このときは、睡眠にとらなくても良かったそうです。
この解除手続きは、有料でした。
ここまで聞いて、じじいは、「ははーん、ここで金をふんだくる詐欺だな!」と思いました。
ありえます。
しかし、自殺を解除するために支払う金額は高額ではなかったのです。
お金がなければ、無料で解除してくれたようでした。
「自殺機」を使うときは無料だったので、この装置で金儲けをしているようではなかったということです。
別に、支払われた保険金から金を請求するということもなかったのです*4。
その装置を作動させるには、かなりの電力が必要だったようです。
そのため、その装置のある家屋には、大きなトランスが設置してありました。
また、特別な電線が引かれていることもあったそうです。
そのような「自殺機」は、日本に複数台設置されているとのことでした。
一般家屋に設置されている場合もあったそうです。
たとえば、魚屋の裏座敷とかに。
もともとは、海外で開発されたものらしいが、実用化されたのは、日本と米国のみであるとも。
「自分の死ぬときは、自分で決めようちゅうことか・・・。死ぬまで生きたほうがええとおもうんやがのう*5。」
*1自作の自慰装置で事故死した変態の話(「石じじいの話・引用:趣味もほどほどに」)を、以前、紹介したことがあります。
その話を彷彿とさせます。
*2当然です。広く知られていたら、現在大変なことになっているでしょう。
*3「自殺機」のあった施設とは別の場所に、その「解除装置」が設置されていることもあったそうです。
*4うーむ、どうも、犯罪の臭いがしますが。
もちろん、自殺幇助は犯罪です。
*5じじいの死については、以前に書いたことがあります。「石じじいの最期」




