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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・イタコの口寄せ

石じじいの話です。


じじいは、石探しのために下北半島を訪れたことがあります。

そこで、イタコに口寄せをしてもらったことがあるそうです*1。

ホトケオロシでした。

その時の巫女は、盲目でした。

奥に座っているイタコの手前にじじいが座ると、降ろしてほしい人の命日を聞かれて、じじいとの関係を聞かれました。

じじいは、いつも想っていた母親を降ろしてもらうことにしました*2。

名前や生年月日などは聞かれなかったそうです。

彼女は、命日だけをノートに記録しました。

はじめの注意として:

ホトケサン(降ろされる霊、この場合は母親)と話ができるということ。

イタコの数珠が止まったら声をかけること。

彼女は、目を閉じて、数珠を繰って詞章を唱えました。

数分もしないうちに数珠繰りが止まって、降りてきた母親がじじいに語りかけました。

その間、イタコは、体を前後に少し揺らしていたそうです。

じじいの返答にあわせて会話が進み、会話が途切れると数珠繰りが入るのです。

数珠繰りの間にじじいが質問すると、ふたたび会話が始まります。

そうやって、死者との会話は続きました。

母は、じじいに語りかけました。

「よく遠い所まで来てくれたね。」

「姿は見せられないが、こうして影になって話をするしかないんだよ。」

「おまえが元気でやっているのはうれしい。」

「もうすこし長生きして、お前の世話をしてやれたら良かったんだが、残念だね。」

「体が弱ってしまって。」

「良い医者にかかっても、逃れられない運命だったのかもね。」

「死んでも、閻魔様、阿弥陀様にも許されて、極楽で蓮の花の上に座っているよ。」

「あとから来たマキさんと仲良く暮らしているから心配しないようにね。」

「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」


のちに死んだ、母親の親友の女性の名前は「マサさん」だったのですが、そのようなことはどうでもよく、じじいは、母親との話に満足したそうです*3。

*1じじいの話によると、母を降ろしてもらった場所は、恐山霊場ではなかったようです。

*2死んで年月のたった人の霊は、フルボトケと呼ばれていたそうです。

*3会話の途中の数珠繰りの間に、依頼者が霊に話しかけなくなると口寄せが終わるのだそうです。

終わる時、巫女は、数珠を繰り、ふたたび詞章を唱えて霊をあの世へ返しました。

そして、イタコとして、じじいと会話をしたのです。

彼女は、霊(この場合、じじいの母親)が話していた内容には言及しなかったそうです。

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