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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・黒雲の女

石じじいの話です。


じじいは、石探しのために、しばしば海岸を歩いていました。

海岸が波で侵食されて岩石がよく露出しているからです。

友人の漁師から聞いた話です。

ある人が、沖合で漁をしていると、急に黒雲が漁船に迫りました。

漁船といっても、一人で操る小さな舟です。

黒雲が彼の舟の真上までくると、雲の中から一本の綱が降りてきて、それを伝わって女性が舟に降りたったそうです。

彼は仰天して腰を抜かしてしまいました。

彼の前に立ったその女性は敵意を示さず、身振り手振りで「火」を求めているようでした。

気を取り直して、恐る恐る、持っていたマッチをやると、彼女は、とても喜んだそうです。

そして、お礼として、たくさんの金貨をくれました。

ずっしりと重い袋に入っていたそうです。

金貨に気をとられていた彼が気がつくと、彼女は、綱につかまって黒雲の消えていくところでした。

彼女を「収納」した黒雲は、急速に舟から遠ざかり、沖合上空に消えてしまったそうです。

もらった金貨は、本物の金でした。

純金です。

それで、新しい舟を手に入れて、家を新築しました。

彼は、それからも、漁にでるたびに、また彼女が雲から降りてこないかと願ったのですが、二度と彼のもとに黒雲は来ませんでした。*1


じじいは、この話を聞いた時、いくらなんでも、そんな話はないだろう!その漁師は、なにか別のところから金を得たのではないか?と思ったそうです。

しかし、もし、それが事実だとしたら、マッチと金貨の交換はおいしい!

その話を聞いてから、じじいもすこし期待して山を歩きましたが、そのようなことはまったく起きませんでした。

黒雲がやってきて雷雨に遭ったくらいでした。


「やっぱり、山ではいけないねぇ。海やないとな。」


じじい、あくまで強欲です。

*1 「守株待兔」(『待ちぼうけ』の元ネタ)のオチのようです。

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