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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・金粉

石じじいの話です。


じじいが山を歩いていた時、ある廃寺に行き当たりました。

もっていた地図には表記はなかったのですが、建物はかなり古いものだったので、地図作成のときの現地調査でもれたのは不思議でした。

本堂に入ってみると、御本尊や仏具などは残っていませんでしたが、床が抜けそうなボコボコの畳敷きの中央に、ポツンと座卓が残っていたのです。

それほど大きくありませんでしたが、天板は一枚板であり、立派なものでした。

じじいが感心して近づいて見てみると、座卓の上には厚くホコリが積もっていました。

しかし、そのホコリは、外から差し込む夕陽にきらきらと輝いています。

それは金粉のようでした。

じじいは指でそれを少しとって、縁側でルーペ(虫眼鏡)*で見てみましたが、やはり金色の粉です。

これは、砂金かもしれないと思い、積もっていた金色の粉を全部紙袋に入れて持ち帰りました。

集めてみると、けっこうな量だったそうです。

持ち帰って、自宅でよく見ると、金色の粉とただの砂が混じっています。

試しに、わんかけをしてみると、金色の粉はうまく分離できました。

これはほんとうに金ではないか?と、わくわくしたじじいは、近くの町の中学校の理科の先生に相談しました。

その先生は、じじいの科学顧問でした。

理科室で、るつぼと電気炉を使って溶かしてみました。

小豆ほどの塊が得られたので、これの比重を計ってみると、どうも金らしい。

モノが小さいので、性格な比重は計れませんでしたが、たしかに重い。

電気炉の温度も、金が溶けるものに近い。

もったいないのですが、試金石を使って条痕色を見ても、純金に近い色をしめしたそうです。

じじいは大喜びでした。

金粉、砂金と呼んでもいいかもしれませんが、と一緒に混じっていた砂も調べましたが、それは、粒径のそろった石英砂だったそうです。

この金、じじいに見せてもらった記憶があります。

今回、この金塊が「じじい箱」に残っているのではないかと、探してみたのですが、ありませんでした。

じじいが、とっくの昔に処分して銭にかえてしまったのかもしれません。

*じじいは、採集した岩石や鉱物、化石を調べるための道具をいろいろと持っていました。

拡大鏡(ルーペ)も何種類か持っていたし、古い顕微鏡も持っていました。

石を割りとるための各種のハンマーやタガネ、山歩き用の方位磁石や双眼鏡、単眼鏡、距離計もあったと思います。

化石のまわりの岩石を取り除いたり、岩石や鉱物の形を標本として整えるために使う小さなタガネなどは、焼きなましをしてグラインダーで削り、焼入れをして自作していました。

そのような作業のやり方を、じじいは教えてくれたものです。

今でも、焼入れの仕方や化石を取り出す方法は覚えています。

焼入れは、実生活に役立ちましたね。

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