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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・墓穴を掘る

石じじいの話です。


じじいは、ある時、墓の改葬を手伝いました。

アルバイトですね。

金を得るためです。

土葬の墓を掘り起こして遺骨を回収する仕事でした。

寺の住職も立ち会って、じじいを含む数人で作業をしたそうです。

「石を探しているのだから地面を掘るのも得意だろう。」というのが、住職が、じじいに声をかけた理由でした。

よくわからない理由です。

その土葬の墓は、もう棺桶は潰れていたのですが、水はけが悪かったらしく、びちょびちょのドロドロの土の中に遺骨が一式残っていたそうです。

それを一本一個ずつ取り上げて地面に並べていきました。

手根骨(手首の骨)や足根骨(足首の骨)などの小さな骨も丁寧に回収しました。

このあたり、じじいの几帳面さをあらわれています。

そうしているあいだに、じじいは気づきました。

住職も同時に気がついたそうです。

「おい、この顔の骨、梅毒による病変ぞ。」

頭蓋骨の前頭骨(額の骨)がひどく凸凹になって、側頭部や頭頂部にも穴があいていました。

「俺たちは大丈夫か!?感染するんじゃないか?」と、作業をしていた他の人たちは焦りました。

じじいには医学の心得があったので、「梅毒の細菌は、そんなに長生きじゃない。」と説明して、彼らを安心させたそうです。

頭蓋骨の他に、下肢の骨にも、骨髄炎の痕跡が残っていたそうです。

頭蓋骨にある神経や血管が通っていた孔には、植物の根がびっしりと入り込んでいたということです。


「死んでから草木の栄養になったんやろうかね。徳をつんだんやね。」と、じじい。

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