石じじいの話・人狼変身術(ロシア)
石じじいの話です。
知り合いのロシア人は語った話です。
これも、ロシアの人狼の話です。
狼に変身する能力を得た人がいたそうです。
若い男性が重い病気を患って発狂してしまいました。
幸いなことに、彼は恢復し、変調した精神状態も、もとにもどりました。
しかし、彼は、「狼に変身する技」を身につけてしまったのです。
村人たちは、このことを知りませんでした。
それから、村の子どもたちが行方不明になりはじめたのです。
姿を消す子供の数が着々と増えていきます。
村人たちは、これは人さらいの仕業ではないかと考え、あたりの村や町に、それらしい怪しい人間の目撃情報を探りはじめましたが、そのような人物が徘徊するのを見かけた人はいませんでした。
そうこうしているうちに、村の周辺を探していた村人が、姿を消した子どもたちの死体(体の一部)を発見したのです。
あきらかに、それらの死体は食い荒らされていました。
それに、「人為的に解体された」形跡もある。
これは、大型の肉食獣、たとえば狼のような動物のしわざとも思えません。
念のため罠を仕掛けましたが、むだでした。
利口な相手のようでした。
見張りをたてても、そのような獣や怪しい人物は見つかりませんでした。
子供の行方不明事件は続きました。
そんな中、ある日、村人の男性が、道でであった顔見知りの若者を食事に誘いました。
すると、その若者は、なにげなく「もう、お前の家には食べるような子どもはいないよ。」と喋ってしまったのです。
油断したのでしょう。
これは怪しい!ということで、その村人は、その若者を捕らえて拷問し悪行を白状させました。
この若者が、子供たちを喰っていたのがばれたのです。
村人は、怒りにまかせて、その若者を撲殺してしまいましたが、叩いているあいだに若者は狼に変身して死んだそうです。
これも、大病を患った人が、狼に変身する(できるようになる)というロシアのお話のバリアントの一つでしょう。




