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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・食人鬼(ロシア)

これは、残酷な話です。

閲覧注意してください。

このような残酷な話は、じじいのしてくれたものではないかもしれません。

子どもである私に配慮したのでしょうか、当時、じじいは、残酷話・エロ話はしてくれませんでした。

じじいは、エロ大好きでしたが。

私も。

ただ、この話が書かれているノートは、私が中学生になってからのものなので、ある程度成長した私に、じじいが話してくれたものかもしれません。

石じじいの話です。


知り合いのロシア人がじじいに語った話です。


ロシアのある地方には、「食人鬼」がいたそうです。

よくある話です。

墓を暴いて食らうのです。

このような行動をするのであれば、「屍食鬼」と呼ぶほうがよいでしょう。

私のノートには、「食人鬼」と記されていました。

墓を暴いて死肉を喰らうのは、よくある話です。

日本の怪談話にも見られます。

その地方の村人たちは、食人鬼をふせぐため、棺の上に石をおいて埋葬しました。

また、死体が完全に腐るまでおいておいて、その後埋葬しました。

そうすれば、食人鬼は、墓を暴いて、新鮮な死体を喰らうことはできないのです。

このような対策をすると、食人鬼は、あきらめて、その地方を離れていきます。

彼らに荒らされた墓の惨状はどのようなものだったのでしょうか?

新しく埋葬された墓は掘りおこされていて、まわりに食われた死体の骨が散らばっていました。

内臓は必ず食われており、手足の筋肉も食べられていました。*

大腿骨などの長骨が割られて、なかの骨髄が食べられていました。

さらに、死体の一部が墓より運びさられて、遠く離れた森の中に、その骨が残されていることもありました。

これは、野生動物が運んだのではないか、という見解もあったそうです。

しかし、埋葬された死体を掘り出すほどの力のある動物はいないので、少なくとも墓を掘りかえしたのは、食人鬼だろう。

墓は、道具を使わないと掘り出せません。

埋葬された死体は、刃物を使って解体されました。

骨に、破壊の痕跡が残っていたのです。**

道具を使用するのは、知能のある「人間」でしょう。

その地方の食人鬼たちは、生者を襲って食らうことはありませんでした。

死肉のみを食べるのです。

ある場所では、死体から取った肉を乾燥させていた痕跡が見つかったこともありました。

干し肉をつくっていたのですね。

食人鬼は、普段はどこにいるのか?

だれが食人鬼なのか?

どこかの森や洞窟山に隠れているのかもしれないということで、山狩りなどしてさがしたが、怪しい人物は見つかりませんでした。

焚き火の跡や雨よけのための構築物のような、「生活の明確な痕跡」も見つかりませんでした。

前記の、「干し肉づくりのあと」のみが、彼らの生活の痕跡でした。

もしかしたら、村人のなかに食人鬼がいるのでは?と考える者もいました。

いわゆる、「魔女狩り」のような精神状態でしょう。

村人が互いに疑心暗鬼となり、それによって共同体が崩壊して、村が消滅してしまったこともあったそうです。


以前、ロシアの人狼についての話がありました。

また、ロシア帝国軍内部で、「肉食人間」を生物兵器(兵士)として養成する実験があったという話もありました。

「屍食」「食人」「吸血」などは、似たような生物学的な行動現象なのかもしれません。

上記の行為のいくつかは、同一種類の「食人ヒト」の仕業かもしれません。

つまり、屍食も食人も行うとか、食人と吸血の両方を臨機応変に行うモノがいたということです。


じじいにこの話をしてくれたロシア人によると、

犯罪学の権威ロンブローゾは、このような食人行為は大昔の野蛮時代の祖先の性格や行動が「先祖返り」で現れたものだと言っているが、その説はいかがわしいと。

*新しく埋葬された死体といっても、死後数日はたっているでしょうから、内臓などは新鮮なものではないと思います。

**石器人の食人風習というのが言われたことがあります。

これは、昔、考古学において、人骨の表面につけられた傷が、人為的なものであると安易に考えられたからです。

人の死体を石器を使って解体して食べたのだ、と。

現在では、大型の肉食哺乳類やげっ歯類などによって食べられた痕跡の場合がほとんどであると考えられているようです。

大腿骨などの長骨が割られているのも、骨髄を食べるためにではなく、ゾウなどの大型の動物が踏みつけることによる破損であったり、肉食動物が噛み砕いた痕跡である場合も多いようです。

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