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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・予知能力(ロシア)

石じじいの話です。


朝鮮での知り合いのロシア人が話してくれたそうです。

そのロシア人は、商売の関係で、あるロシア人の老女と知己を得たのです。

オデッサでのことでした。

そのロシア人女性は非常に裕福な人で、ひとりで、大きな屋敷に住んでいました。

召使いも数人使っていたといいます。

ある日、そのロシア人と老女は、茶を飲みながら、暖かい春先の午後の歓談を楽しんでいました。


老女は話します。


私は、物心ついたときから、将来の出来事を予知する能力があったのです。

天気、その年の天候、作物の出来不出来、他人の訪問などを知ることができました。

それに、習ってもいないのに、幼いときから文字が読め、計算もできました。

学校に通うようになると、習ってもいないのに、フランス語ができるようになりました。

さらに、学校のテストの問題も予知できたのです。

私の予知能力は、友だちには秘密にしていましたが、たまには、こっそりと問題を教えてあげましたっけ。

わたしは、神童と呼ばれました。

実家は、多くの小作人を使う農家でしたが、営農はどんどん成功して、大地主となりました。

たわむれに手を出した投資でも、おおいに成功したのです。

予知は外れないのですから当然です。

私の能力は、家族の中だけ秘密にしました。

厳重に。

これも当然でしょう?

そうしないと、その能力に利用しようとする人たちが大挙して押し寄せただろうし、もしかすると、魔女のそしりを受けないともかぎりません。

結婚する相手も予知できたのですが、すでに好き合っていた男性がいたので、その人と結婚しました。

両親は、私たちの結婚に強く反対しましたが、私の予知能力が必要だったので、最終的には結婚をゆるしてくれました。

結婚生活は愛情にあふれていて幸福でした。

子どももさずかりました。

私たちの家業も成功し続けて、こうして今でも何不自由なく暮らしているのです。

しかし、私は、父親の死も、母親の死も、弟の死も、夫の死も、子どもの死も予知できなかったのです。


その老女は、さらに将来の「恐ろしいできごと」も予知していたようですが、それについて話しく話すことはありませんでした。

ただ、「できるだけ早く、この地から遠く、東に離れなさい。」と忠告してくれたそうです。

それで、そのロシア人は命拾いしたのです。

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