石じじいの話・飛頭蛮(満州)
石じじいの話です。
じじいが、朝鮮時代に、満州に旅したときに、現地の支那人から聞いた話です。
皆さんは、「飛頭蛮」をご存知でしょうか?
よくご存知でしょう。
一種の妖怪です。
夜間に、人の頭が胴体からはなれて、遠くに飛び去り遊びまわるというものです。
人を襲うこともあったとか。
支那の南部の地方では、頭だけではなく、手や脚が飛び回るものもいたそうです。
飛び歩く手が、右手と左手が別々の場所に行くこともありました。
これが、恨みをもつ人間に悪さをすることも多かったそうです。
夜間に、主の胴体を離れて飛び去った手が、主が恨みをもている人の首をしめて殺めるのです。
よくある話です。
あるとき、眠っているときに首をしめられて殺されそうになった人が、その手を追い払いました。
助かったのです。
そのとき、首をしめてきた手の指が珍しい指輪をしていたので、それで、その手の持ち主、すなわち殺人未遂犯がわかりました。
それは、首をしめられた人の親族だったようです。
そのような「怪奇現象」は、当然ながら、犯罪行為として立証されることはありませんでしたが、両者の関係は、非常に悪くなったそうです。




