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石じじいの話・短い話:肉屋;屠殺の味
この話には、特定の職業を差別する意図はありません。
石じじいの話です。
短い話をいくつか。
じじいの経験です。
(1) ある町の商店街の裏道を歩いていると、冷凍トラックが停まっていて、肉屋に肉を運び込んでいました。
大きな肉屋のようでした。
四肢はあるが頭の無い形の冷凍肉がトラックから運び出されていました。
牛や豚でした。
つぎつぎに店に運び込まれているのを見ていると、その中に一つ、首のない人間の真っ赤な死体があったそうです。
皮は剥がされていました。
じじいは驚いて見直しましたが、やはりそれはヒトガタで、すぐに店に運び込まれたそうです。
「まあ、見間違いやったんやろうね。腹がすいとったけんね。」
理由になっていません。
(2) ある食肉処理業者の人が、じじいに教えてくれたそうです。
「死ぬときのストレスが家畜の肉の味に影響するんだ。」
そういって、その人は、豚をやさしく扱って屠殺*していたそうです。
*現在では使用することが、はばかられる言葉ですが、ここでは原文のままです。




