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石じじいの話・短い話:泳ぐ人;薄靄の白い手首;外へ出て
石じじいの話です。
短い話をいくつか。
じじいが他人から聞いた話です。
(1) 海を泳いでいると、すぐ横をたくさんの人たちが泳いでいったそうです*。
だれだ?
浜辺では、こんなに多くの人たちはみなかったが。
その人たちは、沖に泳ぎ去り波間に消えたそうです。
(2) その日は、月夜でしたが、薄靄が立ち込めていました。
薄靄をとおして月明かりがさしています。
向こうの闇から人が近づいてきました。
顔も脚も見えません。
薄靄でかすんでいるのです。
ただ、その人の左腕の白い手首だけが見えていたそうです。
その手が指を曲げて拳をつくったとき、その人物は消え去りました。
(3) 古い井戸を覗き込んで少女が叫んでいました。
「さあ!外へ出て歩いてみなさい!」と。
*昔、「海の話」の一つとして、似たような話を書いたことがあります。
ある漁民の小舟の下を、たくさんの白い人たちが海面の下を泳いでいったという話です。
似ています。




