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石じじいの話・短い話:金網の黒髪;笑う人形;のっぺらぼう;ひぐらしの鳴く頃
石じじいの話です。
短い話を。
じじいが、他人から聞いた話です。
(1) ある人が言うには、
金網に、長い黒髪がべっとりと絡みついていたのを見たそうです。
ゆうに一人分の量があったと。
(2) ある人が言うには、
山を歩いていると、高い木の枝に赤い服の人形がひっかかってました。
どうして、あんな高いところに?と眺めていると、その人形が大声で笑ったそうです。
「その声がな、死んだ家内の声だったんだ。」
(3) ある人が言うには、
道を「のっぺらぼう」の人が歩いている。
それが、普通の人と行き違った瞬間、その人の顔を自分のものとして写しとるのだ。
そういうことを目撃したことがあったそうです。
(4) ある人が言うには、
ひぐらしが鳴くと現れる幽霊がいたそうです。
一人だけでなく何人も現れることがあり、彼らは、じっと鳴き声に聞き入っているようだったと。
じじいの話に、ツクツクボウシが鳴くと熱をだす子どもの話がありました。




