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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・短い話:白い船;家の窓;結婚式場の影

石じじいの話です。


短い話をいくつか。

じじいの経験です。


(1) じじいは、ある夜、白い船の夢を見て目を覚ましました。

夢の内容を詳しくは覚えていなかったのですが、とても怖い夢のようでした。

目覚めたとき、夜中の寝室には、潮の香りが充満していました。

朝鮮で目撃した「アンマエ」か?と思ったそうです*。


(2) じじいの家の近くの町に、白壁の青い屋根の家がありました。

当時としては、非常にモダンな洋風のデザインです。

たまに、その家の横を通ると、白い壁にある窓が開いていていて、その家の住民と思われる人と目が合うことがありました。

じじいの通る道は、家との間に畑をはさんでいたので、窓に見かける人たちの顔は、はっきりとはわかりません。

老若男女の区別がつくくらいでした。

その、真っ白な壁に開く窓は、窓枠が緑色で、青い屋根や真っ白な壁とのコントラストが美しかったそうです。

そのうち、窓の中の人たちと挨拶を交わすようになりました。

声は届かないので、黙礼だけですが。

その挨拶を交わす人たちは、若い女性、初老の男性、そして、小学生くらいの男の子です。

男の子は、じじいに手を振ってくれました。

その道を通ると、かならず誰かと顔をあわせたので、じじいも、それがたのしみだったそうです。

しかし、ある時から、その窓は閉まってしまい、二度と開くことはありませんでした。

しまった窓からは、誰も顔をのぞかせません。

ある日、気になったじじいは、畑を通って窓の近くまで行ってみました。

近寄ってよく見ると、その窓は、白い壁に描かれた絵だったそうです。


(3) じじいが、知りあいの家族の結婚式に出席したときの話です。

結婚式場のロビーで、べつの家の結婚式の出席者が、たくさんあつまって話をしているのに、じじいは出くわしました。

大きな窓からは陽の光が差し込んでいます。

彼らを、ながめていると、楽しそうに話をしている人たちのなかの数人には影がありませんでした。

影のない人に、変わった感じはなく、みんな正装して礼儀正しく談笑していました。

じじいは、そっと、その場をあとにしたそうです。

「いろんな人に祝おうてもろうて、新郎新婦も本望よね。」

*アンマエの話は、”石じじいの話・引用:アンマエ(悪魔の船)”

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