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石じじいの話・短い話:まだ死んでないだろう!;日付を尋ねられる
石じじいの話です。
(1) じじいが、冬に山裾の墓地を歩いていると、ある墓にきれいな紅白の花が供えられていました。
立ち止まって、その美しい花を見ていると、急に後ろから呼びかけられました。
「おまえ!まだ、死んでないだろう!」
もちろん、振り返るとだれもいないのです。
(2) 夜、駅の待合室で夜行列車を待っていると、ひとりの男性が近づいてきて、じじいに尋ねたそうです。
「今日は、何年の何月何日でしょうか?」
[ここは、鉄道の待合室なんだから、普通は時刻をたずねるだろう]とじじいは思ったそうです。
とりあえず、じじいが教えてやると、その男性は、
「ああ、私が死んでから、もう5年もたったんだ。」と言ってたち去ったそうです。




