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石じじいの話・短い話:針の山;花びらの部屋
石じじいの話です。
短い話を2つ。
(1) じじいが山を歩いていると、真っ赤な塊が、木の根元に落ちていました。
よく見ると、それは、真っ赤に錆びた大量の針でした。
縫い針です。
針が入っていた布袋が腐って破れて、針が漏れ出ているのです。
真っ赤に錆びた針の数が半端ではありませんでした。
両手からあふれるほどの量です。
なぜ?こんなところに、こんな大量の針が?
ソテツという植物は、それが枯れかけたら、針を幹にさしておくと復活したといいます。
だから蘇鉄だと。
それで?
(2) じじいが、すでに空き家になっていた大きな屋敷に、雨戸を開けて入ったとき、ある部屋の襖を開けると、部屋の畳床一面に白い花びらが敷き詰められていたことがあったそうです。
真っ白な花びらでした。
じじいが、なぜ、その屋敷に入ったのかの記述はありません。




