石じじいの話・復讐の爬虫類
石じじいの話です。
短い話を。
ある人が、じじいに話してくれました。
その人の知り合いが、大きな「爬虫類」を飼っていたそうです。
それは、ワニではなく、子供のような大きさのトカゲだったのです。
それまで見たこともない。
その人は、その飼い主に、なぜこのような大きなトカゲを飼っているのだと尋ねました。
飼い主は、「これは、復讐のために飼っているんだ。」と答えたのです。
「復讐」のために?
飼い主によると、彼には、とても憎んでいる人間がおり、その者に復讐するために、その道具としてこのトカゲを飼っているのだということでした。
このトカゲが、その相手を食い殺すのだと。
この話を聞いた人は、非常に恐れましたが、また疑問にも思ってたずねました。
このような大きなトカゲを、どうやって手に入れたんだ?
「南洋から連れてきたんだ。」と飼い主。
どうして、復讐にトカゲを使うのだ?
おまえの言うような方法なら、犬やトラ*などの猛獣のほうが適しているのではないか?
「トカゲでなくてはならないのだ。これは南洋で行われている復讐の方法であり、土人たちは、こういうトカゲを使うのだ。」と飼い主。
どのようにして、こんな大きなトカゲを飼っているのだ?
「自分の子供のように育てている。生肉を食べさせているんだ。たまには、生きた肉も必要だ。」と飼い主。
確かに、その飼い主は、よく肉を購入していました。
質は悪い安価な肉ですが、人が食べるには多すぎる量でした。
その他の「生きた肉」とはなんだろう?と、話を聞いた人は思ったのですが、それ以上詳しく尋ねることをためらったそうです。
「その人は、ヘビ使いやのうてトカゲ使いやね。無事に復讐できたんかのう?トカゲは、大丈夫やったんかのう。」と、じじい。
心配するところが、ちがうと思うのですが。
*生きたトラは、日本では入手できないでしょう。
まあ、大きなトカゲも、そうなんですが。




