石じじいの話・角で吠える犬
石じじいの話です。
道路の角から顔だけを出して吠える犬がいたそうです。
十字路など、道路が直角に交差する見通しの悪い場所で、角の塀や建物の壁から、顔だけをだして、こちらに向かって吠えるのです。
そして、すぐに引っ込む。
一声、二声吠えて、頭は引っ込みます。
それらは、大きな茶色の犬だということでしたが、目撃者の中には、白い犬だった、黒だったと言う人もいたそうです。
しかし、いずれも、大きな犬には違いない。
その犬が出るのは、昼間が多いのですが、夕方にも出る。
夜に出ることはない。
夜に出会ったという証言もあったのですが、これは見間違いかもしれないと。
まあ、昔のことですから、野良犬も多いし、普通のことと言えばそうなのです。
しかし、顔だけ出して、それがまっすぐこちらを向いているのに、その胴体が見えないのはおかしいのではないか?という話になりました。
そのような犬が出ても、上述のように、当時としては普通のことなので、犬のほうに走っていって確認する人もいなかったのです。
その犬は、一年ほど、道路の角に出つづけたそうです。
この話を聞いたとき、じじいは思いました。
「誰が、その犬の目撃例を集めたんやろう?」
たしかに、不思議といえば、そうなのですが、首の長い犬はたくさんいるし、その首もかなりの柔軟性がありますからね。
どうなんでしょうか?




