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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・家出の森

石じじいの話です。


じじいが、石探しの旅先で知りあった男性が話してくれました。


その人は、10歳の頃、家出をしました。

家出のとき、家の裏に広がる大きな森に入って隠れながら家から離れたのです。

うしろから、彼の兄が彼を探して呼ぶ声が、森の中で、ずっと聞こえていたそうです。

それから30年。彼は、実家に帰りませんでした。

家族や親戚と連絡もとりませんでした。

事業をおこして、それなりに成功し自分の生活が安定したとき、ふと、彼は自分の故郷が恋しくなりました。

家族に会って、親不孝を謝ろうと思ったのです。

そうなると、居ても立ってもいられなくなって、自分の家に帰りました。

帰ってみると、家族は皆死んでいたのです。

両親はもちろん、森の中で自分を心配して名前を呼んでくれた兄も。

両親の墓も兄の墓も、旦那寺にある一族の墓ではなく、その森の中にたてられていました。

近所の人にたずねたところ、

両親も兄も、「あの子は、森でいなくなったから、帰って来るのも森だ」と言っていたと。

彼らは、死んでからも、自分の子が帰ってきたときには一刻も早く会いたいとおもい、森の中の道の脇に自分たちの墓をたてたのです。

「それから、自分を待っていた家族の家にずっと住んでいるのだ」と、大きな古い家の座敷を見渡して、その男性は、じじいに言ったそうです。

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