石じじいの話・湖の人魚
石じじいの話です。
じじいは、陸水の人魚について、日本でも話を聞いたことがあるそうです。
どの地方かの情報はないのですが、大きな湖がある場所のようです。
川が大きな湖に流れ込む河口付近で、それは目撃されていました。
長い尾が生えた、おたまじゃくしのような生き物だったそうです。
後ろ足は短いが、前足(腕)は、かなり長い体をしていて、テナガザルのようだと。*
しかし、太い尾を持つ。
全身は、細かい鱗に覆われていて、髪の毛はない。
顔は人間のそれであり、口には歯は見られないが、非常に細かい多くの歯が生えているのを見たという人もいる。
[魚食性なら、そのような細かい歯を持つことは普通でしょう。]
[]内は著者のコメント。以下同様。
まったく、声を発しない。
常に、単独で目撃される。
[ここまで聞くと、まあ、「普通の」大型水棲動物なのです。]
しかし、やつらは、陸にあがってくる。
これは、無視できません。
人間の領分を侵害するのですから。
その逆かもしれませんが、まあ、それは問わないとして。
何のために陸にやって来るのか?
目撃者によると、鶏のような小型の家畜を襲う。
また、畑の野菜を盗む。
このため、湖岸近くの家では竹槍を用意している。
しかし、この話を聞いたとき、じじいは疑念を抱いたそうです。
ほんとうか?
湖に、そのような水棲生物がいるとしても、陸まであがって、そのような動物や作物を食べるものだろうか?
魚を食べて、かつ、家禽や野菜を食べるというのは、どんな生物なのか?
この話には、何か裏があるのでは?と。
*そのときの地元の人たち、テナガザルの姿を知っていたのでしょうか?




