石じじいの話・短い話:双子の区別;墓地の駐車場;遺品;祈りなさい
石じじいの話です。
「死」に関する話を。
いずれも短い話です。
(1) 双子の女の子が、海で死にました。
海水浴での事故です。
浜にあげられた二人の死体の前で、父親が嘆いたそうです。
「死んでしまったら、双子の区別ができない!」
(2) 旅先で寺に参ったとき、居合わせた地元の人が言ったそうです。
「この駐車場は、ここの坊さんが墓地を潰して作ったんだ。駐車場を出たら、運転に気をつけろよ。ほかのものも乗っているぞ。おまえのほかにもな。」
じじいが、8,000円で手に入れた自動車で機動力を発揮していたころの話です。
(3) 友人が亡くなりました。
その友人の奥さんが言ったそうです。
「このメガネは、夫が生前大切に使っていたものです。ほら、眼鏡のレンズに彼の指紋がついているでしょう。ここを、拭かないようにしているんです。これは、あのひとの大事な「遺品」なのです。生きた証拠でしょう。」
と。
(4) 歩いていると、急に、呼び止められて説教をされたそうです。
それは、新宗教の信者のようでした。
「祈りなさい。そうすると、死んだあとで、もとの形にもどれますよ。」
それは、キリスト教でもなく、また、仏教でもない。




