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石じじいの話・日傘
石じじいの話です。
じじいが子供の頃、真夏、陽に照らされた真っ白な道を歩いていると、急に、日傘を差し掛けられました。
驚いて後ろを見上げると、女性がやさしく微笑んでいました。
じじいは、その女性が、死んだ母親のように見えたそうです。
しかし、そこには「死の影」があったと。
その瞬間、じいいは気を失って倒れました。
日射病でした。
気がつくと、近くの民家に運ばれて介抱されていましたが、その女性の姿はありませんでした。
助けてくれた人にたずねても、そのような女性はいなかったと。




