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石じじいの話・短い話:竹林の幽霊;夜来る魔物;暗い森;死の花束
石じじいの話です。
他の人たちから、じじいが聞いた話ということです。
(1) 寒い冬の月夜に、竹林に行くと幽霊を見ることができるのだそうです。
(2) ある人が言いました。
「たまに、死にたいと思う夜があるんだが、その夜には魔物が来るんだよ。」
その人は、実在する(と考える)魔物を、自分の「精神的な不安定」にたとえているのか?その逆か?
と、じじいは思ったそうです。
(3) ある人が言いました。
自分の子供を連れて、森の道を歩いていました。
子供のあとを歩いていると、「これから、この子は、どんな人たちと出会うのだろう。」と思ったそうです。
「これから、私が出会うのは死だ。」とも考えていました。
気がつくと、森は深く暗かったそうです。
(4) ある人が言いました。
「死は花束を持って、私たちを待っているんだよ。」
それはどんな花か?
と、じじいは尋ねたそうですが、その人から返答はなかったそうです。




