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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・短い話:人魚の鱗

石じじいの話です。


じじいの話には、よく人魚が出てきます。

オホーツク海の人魚にかんする、いくつかの話を紹介したことがあります。

これも、北海道での話です。


北海道の日本海沿岸の漁村の漁師が話してくれた話です。

彼が漁をしていたとき、人魚が網にかかりました。

彼は、人魚を網から船上に引きあげようとしていたとき、腕をひっかかれました。

ひどく出血したのに驚いたすきに、人魚は網から逃げてしまいました。

腕からの出血がひどいので、彼は、もう、人魚どころではありません。

その傷は、意外と早くふさがりましたが、かさぶたが傷からとれると、その下に鱗のようなものができていました。

それを引き剥がそうとすると、鋭い痛みが走るので、簡単にはとることができません。

様子を見ようと放っておくと、数日で自然に剥落しました。

剥落すると、その下の傷口がまた開きました。

血は出ないのですが、そこにまた鱗ができたのです。

数日して剥落する。

また、傷口が開いて鱗が。

病院で見てもらおうかと思ったのですが、変な症例だと騒ぎになってもいやだということでだまっていることにしました。

その後、体調に問題はないので、そのままにしておけ、ということになったのです。

その鱗は、その後1年ほどでき続けたのですが、その後、自然におさまったということです。

剥落したたくさんの鱗が残ったのですが、気味が悪いので捨ててしまったそうです。

しかし、そのうちの1枚をじじいはもらっていました。

めずらしいものには目がない、じじいです。

それを、中学校の理科の先生にみせると、その先生は、その場で、光学顕微鏡で鱗を調べたそうです。

その鱗は、光を少ししか透さなかったので、そのような形式の顕微鏡では、内部の構造がよくわかりませんでした。

先生が言うには、「よくわからないが、中の構造は歯に似てるね」と。

その鱗は、じじいのコレクションに加えられていましたが、その後どうなったかは不明です。

それを見せてもらったかどうかの記憶は、私にはありません。


傷口から何度も何度も鱗が生えてきた。

それだけですんだのだろうか?

その人の体の中身はどうなのか?

何か、変化が生じていたのではないか?

と、この話を聞いたとき、じじいは思ったそうです。


ひっかかれた男性によると、その人魚の腕や上半身には鱗などなく、童話に出てくるような、人間の肌をしていたそうです。

その肌は淡い灰色だったのですが。

魚形の下半身にも、めだった鱗のようなものはなかったと。

しかし、全身に、長い黒い毛がまばらに生えていたそうです。

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