石じじいの話・短い話:責める手紙;磯の香り;死んでもよい人に○
石じじいの話です。
短い話です。
(1) ある人が、じじいに話しました。
ある男性が死んだ日に、彼に手紙が届きました。
それは、その男性を、ひどく責める手紙でした。
男性の家族は、その手紙を読んだあと、だまって、その人の遺体の胸の上に手紙を置いたそうです。
(2) ある人が、じじいに話しました。
冬の寒い日に午睡をしていると、海に浮かぶ白い船の夢を見ました。
目覚めてみると、部屋の中に磯の香りが満ちていたそうです。
海から遠く離れた山村で。
(3)ある人が、じじいに話しました。
その人へ、差出人不明の、はがきが届きました。
そのはがきには、「死んでもよい人間に○をつけて投函せよ」とあり、そこに、その人の知り合いの名前が列挙されていました。
さらに、恐ろしいことに、自分の家族の名前も、その死んでもよい人リストに含まれていたのです。
宛先は、「会社のような名前」で、東京都の住所だったそうです。
ネットなどない時代です。
苦労して調べてみると、どうも実在の住所だったようですが、その「会社のような名前」が見つかりませんでした。
子供だったその人は、あそび半分で何人かの知人の名前に○をつけて、はがきを投函しました。
はがきを投函した夜に、彼は、大きな地震に襲われたそうです*。
*この話、いつの話だろう?と思って、その地方の大地震の発生年について調べてみました。
おそらく、昭和43年の8月に発生した日向灘地震(M6.6)でしょう。
愛媛県西部で大きな被害が出たようです。




