石じじいの話・短い話:この世の終わりについての会合;死は数えられない;兵士の行進;幽霊たちの船;魔女の耳;おれは天使だ(ロシア)
石じじいの話です。
じじいが、朝鮮でロシア人から聞いた話です。
すべて、ロシアでの話だそうです。
(1) いろいろな「生存者」が集まって、この世の終わりを語り合う会合が開かれていたそうです。
それは、ペトログラードの郊外にある貴族の屋敷で行われていました。
戦争や災害、殺人事件、船舶事故、テロ事件、病気などで死んだ人が集まって、彼らが見てきた「この世の終わり」について話し合うのです。
あるいは、「この世をどのように終わらせるか?」というのが、その会合の議題だ、という話もあったそうです。
それらの会合は、同じものであったのか、それとも、別々に開催されていたのか、は不明だと。
その会合には、生者もオブザーバーとして参加できたそうです。
(2) あるロシア人の哲学者(?)が言うには:
「死」とは、数えられないものだ。可算名詞じゃないぞ。
と。
(3) モスクワでの話です。
戦争で地雷や爆弾で脚を失った兵士だけで、夜に隊列をなして行進することがあったそうです。
幽霊だったのでしょうか?
生霊だったのでしょうか?
(4) バルト海で漁をするエストニア人の漁師たちが言うには:
幽霊たちが乗っている船の船首には、つねに灯りがともっているのだ。
それで、幽霊たちの船が見分けることができるのだ。
(5) ウクライナ人が言います。
魔女は、耳の形で見分けることができるのだ、と。
(6) じじいに話をしてくれたロシア人が、イルクーツクで不思議な男性に会ったそうです。その男性が言うには:
「おれは、天使だ。だから、平気で人を殺せるんだぜ。」
これ、不思議な人ではなくて、危ない人では?




