石じじいの話・オロチョン民族誌 その1(満州、朝鮮)
石じじいの話です。
じじいは、朝鮮に住んでいたときに、満蒙に何度か旅行したことがあります。
この旅の話を、じじいはいろいろとしてくれました。
「石じじいの話」にも、たくさん含まれています。
じじいは、満州北部で、オロチョンと呼ばれる民族に出会ったそうです。
そのときに見聞した話も、いままでいくつか紹介しました。
『オロチョン民族』;『森の神の悪臭』;『満蒙のエロチックな踊り』;です。
聞き取りノートには、他にも、彼らについての断片的な話があります。
それらを紹介しましょう。
オロチョン民族についての情報は、ネットで検索するとたくさん入手可能です。
じじいが教えてくれたことと、それらのネット情報とは、食い違う点も多いのですが、ここでは、じじいの話のみを紹介します。
(1) 食べ物
オロチョンにとっては、トナカイが貴重な家畜でした。
それらを使役したり、乳や肉を食用にし、皮を衣服や家の材料として使いました。
トナカイは、コケ類を主食としているらしいのですが、じじいが訪れた当時でも、彼らが住んでいる地域では、コケ類が減少していたそうです。
そのため、トナカイの飼育が難しくなり、オロチョンの人々は、移動のためには馬を使うか、歩いていたということです。
オロチョンは、狩猟生活をしていたのですが、だんだん農業も始めていたそうです。
それは、とても原始的で、原野に種をまいて、あとは放っておくというやりかたでした。
主食は、獣の肉とミーズでした。
ミーズとは、キビのことです。
キビのほかに、粟なども食べていたようです。
肉は塩で煮たり、焼いて食べていました。
焼く場合は、半焼けの骨付き肉を、それぞれが持っている「ウチカン」と呼ばれる刀で切りながら食べたそうです。
食事は朝夕の二食だけで、副食はなかったということです。
夏季には野生のニラやキノコを食べることがありました。
また、調味料は、ほとんど使わず、岩塩くらいでした。
茶を飲み、タバコも吸いました。
酒は蒙古の酒と同じような馬乳酒があったようです。
また、中国人から購入した白酒がありました。
これは、強いお酒です。
彼らは、飲み始めると、あるだけ飲み、前後不覚となる人が多かったとか。
酒造りに使えるほどの穀物を生産しているわけではなかったので、そのような酒は自作できませんでした。




