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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・短い話:多幸感の石;床下からの声;火焔型土器

石じじいの話です。


短い話をいくつか。


(1) 持っていると多幸感を与えてくれる石があったそうです。

その石は、円摩度の高い砂岩の小石だったのですが、それを枕元に置いて眠ると、大きな多幸感で目覚めることができたのです。

幸福な夢を見るわけではなく、ただ、目覚めたときに、とてもすがすがしく幸福感に満たされた気持ちなのです。

まあ、そのあと、すぐに現実にもどってしまうのですが。

毎回、その現象が起きるわけではなかったのですが、多幸感の発生の頻度は高かったそうです。

じじいは、その石を借りてためしてみたのですが、もう最初の朝に大きな多幸感で目覚めました。

効果てきめんでした。

しかし、じじいは、その多幸感の中に、その「隙間」に、小さな、しかし深い悲しみを感じて、すぐにその石の使用をやめてしまいました。


(2) じじいが、ある家によばれたとき、座敷で茶をごちそうになっていると、床の下から声がしました。

「出してよ、出してよ、ここから出してよ。」

じじいが、その声に気づいたことを察した、その家の人は、

「床下に犬が忍び込んで子どもを産んで困っているのだ。」とじじいに説明しました。

「出してよ、出してよ。こわいよ。」

そのあとも続く声を、じじいは必死で無視しました。


(3) 縄文土器を焼いて生活していた人がいたそうです。

非常に器用な人で、紐状の粘土を積み重ねて、実物の考古遺物とそっくりの土器を作っていました。

窯を使わず、野焼きをしていたそうです。

それが本来の焼き方らしいのですが。

多くの「作品」のなかに、「火焔型土器」もありました。

町の図書館の本で見た火焔土器の写真とそっくりで、じじいは驚きました。

何のために、このような土器を焼いているのか?と尋ねたところ、その人は、「ただの趣味だ」と答えました。

じじいは、そのような土器に古色処理をして、本物と偽って売っているのではないかとも怪しみましたが、そのような悪事を働く人のようには見えなかったそうです。


「そう思うたんやが、ほんとうは、にせものを作りよったんかもしれんね。石器のにせものをじょうずにつくるもんもおるけんね。」*

*石器の贋作については、また別の話があります。

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