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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・燃え尽きない線香

石じじいの話です。


だれにも知られず、線香が立つ家があったそうです。

その家の、仏間で、知らない間に火のついた線香が立っていることがありました。

線香の匂いがするな、と思って探してみると、仏間に煙が漂っていました。

仏間の仏壇に、線香がついていたのです。

線香は、半分ほどが燃えていました。

火が危ないので消して、だれが線香を立てたのだと家人に問いましたが、だれも思い当たりません。

すこしすると、また仏壇に線香が燃えていました。

そのときは、線香はすでに燃え尽きようとしていたそうです。

家人にたずねても、だれも線香をたてたものはいない。

その線香は、非常に上等なもので、芳香をたてていました。

これは、「石が降る家」と同じパターンです。

気がつかないうちに、奇妙な現象が何度も何度も起きるという。

見張っていても、目を離したすきに、線香がたっているです。

一日に、かならず二回、火のついた線香が立ちました。

気味が悪いので、仏壇から線香立てやろうそく立てを取り除いてしまいました。

すると、今度は、その家の墓の前に線香が立つようになったのです。

同じ種類の線香でした。

墓を管理する寺の住職が、それを見つけて、その家族に連絡してきたのです。

住職が見つけるまでも、線香は立てられていたらしく、たくさんの燃え残りが墓前に立っていたそうです。

それほど危険なことではないのですが、片付けても、次の日には、線香が芳香をたてているのです。

住職も、その墓を四六時中見張っているわけには行かなかったので、暇なときに線香を確認するというかんじでした。

相変わらず、線香が立ちます。

その家の人たちは、仏間の仏壇に線香立てをもどしました。

そうすれば、墓に立つ線香が、仏壇に戻ってくるだろうと考えたのです。

寺に迷惑をかけないですむ、と。

しかし、線香は、もう仏壇には立ちませんでした。

おそらく、それと前後して、墓にも線香は立たなくなりました。

芳香をただよわせる、その線香は、どんな仏具店で探しても見つけられなかったそうです。

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