石じじいの話・いくつかの短い話 4:操車場;牛の尻;蛇の死;この先に;幽霊と鶏
石じじいの話です。短い話をいくつか紹介しましょう。
(1) じじいが、操車場を歩いていたときです*。
長い貨物列車が通過するのを待って、線路のわきに立っていると、突然、列車の反対側から狂ったような叫び声が聞こえてきたそうです。
走っている列車のすぐ近くでさえも聞こえたので、非常に大きな声だったのだろうということでした。
じじいは、この通過中の列車に人が轢かれたのかもしれない、と焦ったのですが、その列車が長い貨物列車で、非常にゆっくりと走っていたので、叫び声がした反対側には、すぐには行けませんでした。
やっと、列車が通り過ぎて、線路をまたいで見渡したときには、まわりには誰もいなかったそうです。
(2) 屠殺場につれていかれる牛の尻に人間の顔が浮かび上がっていたことがあるそうです**。
(3) 山の中で、蛇が大量に殺されていた場所があったそうです。そこには、蛇の死体が何百匹と折り重なっていました。
(4) 背丈が高い草が生い茂っている野原の中を少し行くと、小さな空き地があって、そこに、「この先に死人がいます」と書かれた古い立て札が立っていたそうです。
(5) ある家に、夜中、死んだ子供の幽霊が出たが、鶏が鳴くと急に消えてしまいました。
それを残念に思った親は、その鶏を絞めて食ってしまったそうです。
(6) 子供が、ヒキガエルを捕まえたら、カエルが人間のことばで、「妻よさらばだ!」と叫んだそうです。
*昔は、鉄道の操車場を、簡単に横切ることができました。禁止されていたのでしょうけど。
**「ドナドナ」を聴くと、この話を思い出します。




