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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・この土蔵に入るな

石じじいの話です。


じじいが子供のころに、近くに住んでいた年寄りが両親から聞いた話だということで、その老人から聞かせてもらった話だそうです。

ものすごく昔の話です。こうなってしまうと、『にっぽん昔話』です。


入ってはならない土蔵があったそうです。

古い土蔵でした。

江戸時代からのものだったのでしょう。

土蔵に窓はありましたが、鉄の格子がはめてありました。

老人が親から話を聞いたときには、土蔵の入り口の重い扉に、真っ赤に錆びた大きな錠前がいくつもがかかっていて厳重に閉じられた状態だったそうです。


この蔵に入ったら出てこれないと、昔から言い伝えられていました。

むかし、その持ち主の家族のひとりが、行灯をもってなかに入ったら、出てこなかった。

いくら待っても。

他の人たちが、中にむかって呼びかけたが、まったく答えがかえってこなかったそうです。

すぐさま、もうひとりが調べに入ったのですが、その人も出てこない。

さらに一人が入ったが、その人も出てこない。

これは、危ないということで、そのあとは誰も入ろうとはしませんでした。

土蔵の扉をもっと広く開け広げると、薄暗いながら、そこから差しこむ光で入口付近の様子が少し見えたのです。

蔵の中には、木箱がたくさん積んであり。他に、美術品のような立像もあった何体か立っていたそうです。

分厚い古文書も積み上げてありました。

江戸時代の農村の地方文書(じかたもんじょ)だったのかもしれません。

行方不明になっていた人たちが持っていた行灯は、床にもどこにも、みられなかったそうです。

結局、この時、その家族の三人が蔵の中で行方不明になったのです。

これ以上、入ることは危険だ、ということでそのままになりました。

蔵を壊したらという意見もでましたが、それも「たたり」が怖いということで、持ち主一家はそれを拒んだそうです。

警察沙汰になるのを恐れて、箝口令もしかれたとか。

しかし、一部の村人たちは、この行方不明事件というのは、じっさいには起きなかったのではないか?と考えたそうす。

その土蔵での行方不明事件というのは虚偽であり、実はなにか他の事件が起きて、その三人が姿を消したのではないかという推理でした。

この程度で、土蔵の探索をやめてしまうのが不審です。

扉を壊して開けて、多人数で入ればいいのではないでしょうか。

それに、いくら昔でも、人が三人も行方不明になって、官憲が動かないということはないと思うのですが。

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