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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・人食い用水路の足跡

石じじいの話です。


瀬戸内海沿岸の地域では、降水量が少ないため、平野には用水路がはりめぐらされていました。

特に、干拓地域には、排水と耕作地への灌漑のために用水路が発達しています。


ある家の近くに、大きくて深い用水路が流れていました。

用水路の底には、田んぼなどから運ばれてきた泥が厚く堆積していました。

用水路には柵はまったくなく、夜になると、街灯がない昔には、道と用水の境が見えずに、用水路に落ちる人がけっこういたそうです。

酔っ払った人や子供などが落ちると、そのまま溺れ死んでしまうこともありました。

年に一人くらいは、どこかで溺死していたようです。

その家の近くの用水路でも何人か死んでいました。

「人食い用水路」と呼ばれていました。


ある日の朝、家を出てみると、前の用水路から家に向かって泥でつけられた足跡がのびていました。

用水路から道路にあがって、舗装道路を横切り、家の門から飛び石づたいに玄関まで来て、そこから庇づたいに庭先の縁側にまわりこんでいました。

足跡は、縁側の踏み台石の上で終わっていました。

足跡は完全に乾燥していたので、夜中にやってきたのでしょう。

しかし、縁側の雨戸が開かれた形跡はありませんでした。

足跡を残したのはだれか?

そのものは、家に入ったのか?

天井や屋根の上にのぼったのではないかと、そこも調べたそうですが、泥の足跡はなかったということです。

はだしの足跡だったのですが、その大きさは子供程度で、しっかりと五本指のあとものこっていたそうです。

警察にもとどけたのですが、ほとんど相手にされませんでした。

足跡は、その家の人たちによって、不審者の証拠としてずっと残されていましたが、風と雨によってすぐに消えてしまったそうです。

その後、その家に凶事なども起こることなく、ふたたび足跡がつけられることもなかったということです。

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