281/598
石じじいの話・眼を閉じない人形
石じじいの話です。
じじいの知り合いの子供、女の子が病気になって、町の病院に入院しました。
しかし、病状が芳しくありません。
診断によると、命が危ないかもしれない。
親は泊まりがけで看病しました。
ある日、父親が、お見舞いとして人形を買ってきました。
横にすると自動的に目を閉じる、起こすと目を開くしくみの人形でした。
女の子は大変よろこんで、めずらしく元気に、その人形で遊んだそうです。
その日の夜、容体が悪化して女の子は亡くなってしまいました。
女の子が死ぬと、その人形は、目を閉じなくなったそうです。
その人形は、彼女といっしょに棺におさめられましたが、目はずっと開いたままでした。
目を開いた人形は、葬式に参列したじじいも見たそうです。




